昨日死んだ

コミュ障なので面白いことが言えない根暗なブログ

救いがない「銀と金」。哲学を語るキャラと語らないキャラ

福本伸行漫画「銀と金」を読みました!

色々思う所アリ。

 

正直な感想だけ言えばどうとらえていいかわからない

というか・・・・

こりゃ好みのモンダイだなあと思いました。

 

名作と名高い「銀と金」。

裏社会で名を馳せるフィクサーの平井銀二。

それに目を掛けられた青年?森田。

裏世界を描いたハードボイルドな作品。

裏の金銭的な取引や、大企業、政治家から

金を引っ張てきたり。

高レートのギャンブルをしたりするわけです。

ちょっとあんまり熱が入ってないので

ぼんやりした書き方になりますが。

 

この平井銀二、見た目は堅気じゃないおじさん

って感じです。勿論堅気じゃありません。

ペーペーの森田から見たら裏世界の危ない橋を

かいくぐって来た猛者。漢の中の漢って感じです。

渋くてかっこいい感じです。

そんな銀二からヤバ気な仕事を任されたり

銀二に憧れ、森田自身がその裏世界に

飛び込んで成長していきます。

 

銀と金」で好きなエピソードは殺人鬼の監視する

話と、麻雀編、神威編です。

ギャンブルの内容だけで言えば競馬は

描写だけでドキドキさせられました。

競馬のあたりは面白かったなと思いました。

 

麻雀編はやっぱり福本先生の十八番って

感じがありましたし、人を飼っている

という狂気は鷲頭様を超えています。

あの場で銀二も賭けだと思っていたのは

意外でしたが。

悪人ってもっと根回しが用意周到だと

思っていたので、銀二って悪人だけど

ギャンブル要素高すぎるって違和感はありましたw

 

銀と金」で一番面白いのって森田が頑張った話なんですよね。

森田そのものがとても好きです。

森田って本当根の素直な青年なんです。

でも金では転ばない芯があります。

結果的にその森田の性格が銀と袂を分かつ結果に

なってしまうのですが

森田は最後まで人間だったし、人間らしかった。

 

銀と金」は裏社会を描いた漫画です。

なのでやっぱり弱者は食い物にされるし

勝たなきゃ無意味っていう福本漫画にある

メッセージがあります。

メッセ―ジってほど強い描写はありませんが

結局弱者は食い物にされるし、金を得ようじゃないか

って話です。

森田はカイジみたいに借金があるわけでも

追い詰められているわけでもありません。

銀二のようになりたいという憧れで行動します。

 

カイジにも同じメッセージがありますが、

カイジはクズでも人間性を失いません。

損しながら無一文になっても、人として

最低限の部分にちゃんと立っています。

森田も同じです。

でも森田以外の部分は全員「悪」とか「悪党」

だったりします。

カイジはコメディ色もありますし、基本はカイジ

独りでぐにゃあとかしてます。

でも「銀と金」はハードボイルドな漫画なので

コメディ的なカラーはゼロ。

森田以外は悪とか悪党だけ。

読んでいて重い気持ちになったり、救いがなさすぎたり

する話があります。

 

誰かが救われなくても、誰かのために立ち上がったって

多少でも救いがあればいいのですが

本当救いがなくて、正直良いなと思えませんでした。

福本漫画で描かれているのは厳しいことや

反面教師。でもどこかに必ずヒーローがいるってことです。

ギャンブル色が強いけど、福本漫画初期からある

人情的な部分が根底にある気がします。

それが福本伸行漫画が描く男気なんだと思います。

そのヒーローは助けはしないけど、

こう生きていこうぜって鼓舞してくれます。

でも「銀と金」にはそれがないなって思いました。

福本漫画全て読んでるワケではないですが、

異色な感じは受けました。

もしかしたら挑戦作だったのかもしれません。

 

読んでて救われるのは純粋な森田の考え方だけです。

森田もどう生きるかという哲学までは語りません。

闇の世界で生きる才能が森田にはありました。

土壇場で発揮する機を読む能力とか、運気とか。

でも感覚はまっとうな人間だったんだと思います。

だからこそ、「銀と金」の中で浮いていたからこそ

かっこいいキャラクターなんだと思います。

 

それに比べて、銀二をかっこいいとは思えませんでした。

銀二は多くは語りません。だからこそ銀二の本心が

わからないし、単に頭の切れる?人ってだけで

本来持っているだろう魅力が伝わりませんでした。

同じような立ち位置にいるアカギとは大違いだなって

思ってしまいました。

アカギは哲学を持ってました。

生きる事や勝負すること。それが理解できないもので

あっても、自分なりの考えや哲学を持っていた。

それがあることで、物語を読む度に、キャラクターと

対話するかのような面白さがあったと思います。

死にたがりのアカギでもそうです。

アカギはこういう考えで生きてるんだと知ることで

その考えは理解出来なくても、アカギという

人間を知ることは出来ます。

 

でも作中何も語らない銀二がどんな人間なのか

わからないまま。

凄い人なんだけど、行動原理がわかりません。

そういうキャラと言われればそれまでなんですが

逆にキャラクターに何か生きる欲求や渇望

行動原理がないと、魅力が感じられない

ってのはわかりました。

クールで一見理解出来ないアカギでさえ、

こう生きているっていうのがわかりました。

それは生きる欲求の上にある、生きる為の

死だと思ってます。

死ぬことで自分が自分らしく生きられる感じ

なのかなと。

そういう性質なんだということもわかりました。

でも銀二は何故、銀行を支配したのかわかりません。

金は充分持ってるし、権力が欲しいということなのか。

じゃあその権力で何をしたいのか。

権力欲にまみれてるほど、汚い描写もありません。

汚れる程欲にまみれてるというならわかりますが

汚い描写もなければ、別に悪特有の

譲れない部分や芯も登場してこない。

必死さや失いたくないものもなく

ギャンブルに敗れて勿論失う物があるはずなのに

森田だけが死ぬ気でやっている印象。

本当漠然としています。

それゆえに表面をなぞっただけのキャラクターに感じ

られてしまいました。

そこまでキャラクターの背景を求めなくてもいいのかも

知れませんが、世界観がはっきりしてるだけに

銀二がボヤけて見えてしまう気がします。

 

 

例えば悪だとしても、どんな悪なのか

そういう具体的な描写もなく

また鷲頭編のアカギみたいに、仰木が解説してくれれば

いいけど、解説役もいませんでしたし。

銀二の行動がどういう生き方を表しているのかって

描写もなく、とにかく興味を持つ以前に

どんな人間かもわからぬまま

単にかっこいい風を装った実体が伴わないペラい人

に思えました。

でも森田を心配したシーンはなんか人間らしさが

あって良かった。

その点おっさんになったアカギはお茶目ありで

やりたい放題のおっさんですしw

すごく魅力的でしたね。

 

だから正直「銀と金」は面白いと手放しに思えませんでした。

物語を読む際に、やっぱり登場人物に共感なり、人間らしさなり

あるいは物語に勧善懲悪などの救いがないと

裏社会ってテーマだけでは重いなあと思いました。

それも、誰もが驚くトリックや機転で修羅場をかいくぐる

とかそれくらいのエンターテインメント性、そういう

カタルシスがあれば別ですが

正直のちに発表されたカイジなんかを先に読んでしまってるので

そこまでの展開もないしって思います。

順番が違えば面白かったのかもしれません。

逆に言えば福本先生がとくかくドンドン面白い漫画

書きまくってるってことなんですが。

 

カイジも異色と言えば異色なんですよね。

雑誌もジャンプほどじゃないにしろメジャーですし

福本先生の得意なギャンブルなんですけど

カイジは本当ヒットすべくしてヒットしたみたいな感じですね。

ライアーゲームより早くドラマ化してれば・・・・

と思いましたが、なかなか血生臭いのでw

ジャンキーなのに人情家って設定もすごくいいなと思います。

福本漫画のキャラの中ではなんというかヘタレ感があって

本当評価されてるのは博才だけですから

でもそんなカイジさん、やっぱり好きです。

黒沢はギャンブルしてないし別次元って感じです。

森田は・・・・髪ほどいた顔がカイジに似すぎw

森田に怠惰とクズを抱き合わせたらカイジになるのかなw

 

逆に殺人鬼との話とか、神威編みたいなこと

そういう感じのギャンブルとか、ちょっとした

推理的な物語を書いても面白いんだろうなあ

福本先生は。と思いました。

 

打ち切りなのか、森田を再登場させ銀二と対決

させる予定だったとかなんとかウィキペディアには

ありますが、不明です。

銀二から考えると存在感のない天さんが急に

好きになるから不思議ですw